築年数不明の2階建て一軒家を、1Fはまちの料理家が日替わりで運営できるシェアキッチン、2Fは放課後を子どもが過ごせる教室兼多目的スタジオとしたリノベーション計画。
敷地は道路拡幅が予定されており周辺環境の変化が激しく、この地域独特の空気感が失われつつあるため、場所の記憶を空間に留めながら建物を更新しようと考えた。
建物は雨漏りや耐震性などの不安要素が多く、構造補強や内装もほぼやり直しとなった。その代わりに元クリーニング店の名残であるダムウェーターを耐震要素として再利用し、店舗サインも地域のアイコンとしてそのまま残すなど、既存要素を随所に残している。
家具製作や塗装を地域の方や友人を巻き込み自主施工し、計画初期から地域へ発信・交流する仕掛けを施すことで、愛着のある空間となることを目指している。
—大きなカウンターでキッチンをつくる
総ステンレス仕上のキッチンカウンターは、全長4.58mのロングスパン。客席と厨房の間に目隠しとなる段差を設けず、向かい合った際にお互いの手元がよく見えるように、また収納や設備機器はカウンター下と吊り棚・背面棚に納め、奥行全体を調理スペースとして広々使えるように設計した。カウンター越しに向かい合う料理教室やワークショップにも対応できるように、あえて引き算している。
—大きなテーブルと大きな本棚
2Fのスタジオに設置した大きなテーブルと本棚はdiyで製作。教室のほかワークショップや講演会など、スペースを必要とする活動にも対応できるように、テーブルは脚の上に天板を置くだけの簡素なものとした。
—概要
所在地 | 東京都新宿区
主用途 | シェアキッチン, スタジオ
構造・規模 | 木造・3階建
床面積 | 59.6㎡
竣工 | 2019.01
設計 | YN studio
構造アドバイス | 中野久夫
施工 | 共同建設
写真 | 岩田量自, YN studio(既存写真)
—メディア
2020.04.10
新しいコミュニティを生み出す空間とデザイン
PIE international
—受賞
2020
令和元年度キッチン空間アイデアコンテスト
部門賞
リノベーション